他社から契約切り替え殺到のau新料金プラン、本当に得?こんな人は得/損!

auが息を吹き返してきた感じですね。

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7月14日、KDDI(au)が新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」を開始し、「MNP(携帯電話のキャリアをまたぐ番号継続サービス)による他社からauへの流入契約数が2倍」「半月で45万契約を獲得」と大きな話題となっています。

 そこで今回は、

・「ピタットプラン」「フラットプラン」の特徴
・新料金プランに乗り換えると得な人
・新料金プランに乗り換えると損な人、注意点

などについて紹介したいと思います。

●「auピタットプラン」とは

 既存プランの場合、あらかじめ自分が月に何GBくらい使うかをイメージし、例えば5GBで契約するというものが一般的でした。この場合、月末頃に5GBを超えてしまった場合、速度制限がかかり、それを解除するために追加でデータ通信量を購入するといった作業が必要でした。追加購入には手間もかかりますし、追加分は割高な料金設定になっています。

 その点、「ピタットプラン」では、データ通信量に応じて料金が自動的に上がっていきます。1GBで収まれば1GB分の料金になり、2GB使えば2GBの料金と、5段階の定額料金が自動的に適用されます。さらに、料金が月ごとに決まるので、「今月は1GB」「翌月は5GB」など柔軟に料金が決まります。

・どのくらいのデータ通信量になるかわからない人
・月によりデータ通信量が大きく異なる人

には、「ピタットプラン」は適していることがわかります。

 では、具体的な金額はどのようになるでしょうか。一般的なケースで比較してみます。
既存プランの場合、

・カケホ:2700円
・LTEネット:300円
・データ定額5(5BG):5000円
※合計:8000円

となります。通常、ここに「毎月割」が適用されます。毎月割とは、端末代金の一部が毎月割り引かれる割引サービスです。この料金体系は、au以外のNTTドコモ、ソフトバンクもほぼ同じです。

 これが「ピタットプラン」の場合、

・ピタットプラン(カケホ)5BG:7480円(誰でも割適用)

となり、「ピタットプラン」のほうが520円安くなります。ただし、「ピタットプラン」では「毎月割」が適用されません。「毎月割」は購入した端末によって、また時期によって異なります。「毎月割」が520円以下の人は、「ピタットプラン」のほうがお得といえます。また、「毎月割」が520円以上の人であっても、月ごとデータ通信量が大きく異なる人は乗り換えるメリットがあると思われます。

 もちろん、「毎月割」が適用されていない方、「毎月割」の適用が終了している方(端末を約2年以上使っている方)は、「ピタットプラン」のほうがお得です。

 ここで、「ピタットプラン」には「ビッグニュースキャンペーン」というものがあり、翌月から1年間、月1000円割引になります。年合計1万2000円の割引となり、これも考慮して新旧どちらのプランのほうが得か比較検討する必要があります。

●「auフラットプラン」

「フラットプラン」はデータ通信量20GBもしくは30GB固定の料金プランです。こちらも既存のプランと比較してみましょう。

・カケホ:2700円
・LTEネット:300円
・データ定額20(20BG):6000円
※合計:9000円

「フラットプラン」の場合は、
・「フラットプラン(カケホ)20GB:合計7500円(誰でも割適用時)

となり、「フラットプラン」のほうが1500円安くなります。こちらも「毎月割」は適用されず、1年間はさらに1000円割引になります。「毎月割」が1500円未満の方、適用されていない方、適用が終了している方などは、「フラットプラン」のほうがお得です。

 まとめると、新料金プランは、

・最初の1年間は月1500~2500円ほど安くなる
・2年目以降は月500~1500円ほど安くなる
・ただし「毎月割」の適用がなくなる

となります。

 以上より、下記のとおり整理できます。

・「毎月割」が小さい人、ない人は新料金プランがおすすめ
・月によってデータ通信量が大きく異なる人は、「ピタットプラン」がおすすめ
・毎月20GBなど大容量のデータ通信量の人は「フラットプラン」がおすすめ

●ちょっと複雑な「アップグレードプログラムEX」とは?

 新料金プランでは毎月割がありません。最近のスマ-トフォン(スマホ)は端末が10万円近くするものもあり、新たに購入しようとしている人にとっては大きな負担になります。それを助けてくれるのが「毎月割」に変わる「アップグレードプログラムEX」です。

「アップグレードプログラムEX」では毎月390円(不課税)払います。すると端末代金は48カ月=4年の割賦契約となります。「4年縛り?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

 端末代金を24回払うと、25カ月目以降に機種変更した場合、割賦の残りについて支払いが免除されます。つまり、最大半額で購入できることになります。ただし、390円を24回=9360円を払うので、端末を「半額+9360円」で購入するサービスといえるでしょう。

●新料金プランに乗り換えると損な人、注意点

 auによれば、新料金プランの登場により、端末を購入した8割超の人が新プランを選び、割賦契約をした人の内、こちらも8割超の人が「アップグレードプログラムEX」に加入したとのことです。

 ただし、上記に示したように、既存プラン、新料金プランどちらが得かは人それぞれです。新料金プランに関する紹介を見ると、大幅に安くなっているように見えるものもありますが、そうした表記は、最初の1年間限定の割引が適用され、さらにスマートバリュー(auひかりなどの利用者の割引)も適用されているものになります。実際のお得額は本記事で示したような考え方できちんと計算することをおすすめします。特に、「毎月割」が大きな人は、新料金プランだと損してしまうため、既存プランの利用をおすすめします。

 また、2年縛りについても、考慮する必要があります。auの新料金プランに惹かれて他社からauに移る場合、2年縛りの契約解除料がかかることがあります。一般に解除料は9500円で、さらに転出料2000円と新規契約料3000円がかかります。これらをコストのなかに含めて計算してください。

 iPhoneユーザにとっては残念なことなのですが、新料金プランの新規購入と機種変更の対象機種は「au 4G LTE対応Android」となっています。肝心のiPhone向けのプランについては、「秋に向けて協議中」とのことです。

 例外的に現在au iPhoneを使用している人であれば、新料金プランを適用することができますが、「毎月割」が適用されないことを考えると、お得になる人は限られます。例えば、2年以上前にiPhone 6を購入し、現在は毎月割の適用がなくなり、この先au iPhone 6から当面は買い換えるつもりがない人などは、新料金プランのほうがお得になります。

 なかなかシンプルにならないスマホ料金ですが、家計に占める通信費が大きなものになっています。情報を集め、格安スマホなど含めてよく検討して、よりお得なプランを選択してください。
(文=新田ヒカル/スマホ評論家、マネー評論家)

※料金は特に表記がない場合、すべて税抜です。

 (ニフティニュースより)